【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜
「いや、別に」
そもそも泣いたなんて言うわけがない。
「ふぅーん。そっか、じゃあ俺はもう少し寝るわ」
長沢はたいして気にした様子もなく、自分のベッドに潜り込んだ。
それから俺はジャージに着替えると、ランニングを行った。
なにかから逃げるかのように。
ただひたすらと走り続けた。
その結果、俺は本来なら学校に登校している時間に寮に着いた。
完璧遅刻だ。
まあ、いいや。
そう思いながら部屋に入れば、
「遅いんだけど!どこ行ってたんだよ」
既に登校していると思っていた長沢からの説教。
「なんでいるの」
「なんでじゃないだろ!なかなか帰って来ないから心配したんだよ」
いやいや。
こんな俺のこと心配しなくていいし。
むしろ俺なんて誰かに心配されていい人間じゃない。
「僕は平気だから。学校行きなよ」
バサッ──
そう言った俺に、長沢はタオルを投げつけた。
「待っててやるから、早くシャワー入ってこい」