オフィス・ラブ #∞【SS集】
白いチュニックを着て、髪をボブにしている、たぶん6歳くらいの子。

新庄さんの車の、特徴ある流線型のヘッドライトの縁を、指でなぞって遊んでいる。


切れ長のヘッドライトは、涙が溜まっているみたいに、下辺の真ん中がぷくりとふくらんでいる。

特にそこを楽しげに、何度も小さな指が行き来していた。

この炎天下、長距離を走ってきた車なので、やけどしないか心配になる。



「どうしたの」



保護者の姿が見えないなあと思いながら声をかけると、びっくりしたように私を振り返った。


ありゃ、おびえさせちゃったかな。

安心させようと女の子の前にしゃがんだ時、どうした、と新庄さんが車から降りてきた。


少しかがんでいたこの子が、運転席からは、ちょうど見えなかったんだろう。

私が誰かに話しかけているのを見て、不思議に思って降りてきたらしかった。


女の子は、その声に振り返ると、新庄さんを見あげて、それは嬉しそうに、にっこりと笑った。

その子の存在に眉を上げていた新庄さんも、つられたように微笑み返す。



「ひとり?」



新庄さんが尋ねると、女の子が不思議そうに首をかしげた。


子供特有の、透けそうに細い髪が揺れる。

黒目がちの大きな目に、白い肌。

可愛い子だなあ。

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