嘘と本音と建前と。
考えたことが口にでてしまった。


田中が気付いてないのが不幸中の幸いで、顔は見えないが司は声を殺して笑っている。


空知から見て司は後ろ姿だが背中が小刻みに震えているからだ。


そんな司の背中を田中の死角になるようにつねった。


司の背筋は伸び、すかさず睨んでくる。


空知はそれをきょとんとした作り顔で返して見せた。


下絵の半分終わったか終わらなかったかくらいにチャイムがなる。


空知の学校のチャイムは他と違い、愛の挨拶が流れる変った学校だ。


物思いにふけって時間だけを消費し、空知は作業にあまり貢献できなかった。


しょげながら廊下に広げた横断幕を折りたたんでいる最中、司が空知の耳元で呟いた。


「放課後の校内散歩、付き合ってあげてもいいよ。」


その言葉に自分で探すという手があることに気が付いた。


「まあもちろん、付き添い代は頂くけど。」


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