恋する僕らのひみつ。

湊もあたしも、イベントなんて別に興味なかった。



あたしたちは、このあと体育館で行われる後夜祭の準備をする係だったために、この場所にいただけ。



だから、司会の声にもほとんど耳を傾けずにいた。



お腹がへっていたあたしたちは、後夜祭の準備をする前に空腹を満たそうと、



他のクラスが行っていた屋台で食べ物を買い、それを体育館の隅で食べていたところだった。



『ちょっと、湊っ!何これ』



『あ?』



あたしは目の前にあるホットドックを指差す。



もはや、ホットドックではない。



真ん中を切り裂いた、ただのコッペパン。



『ソーセージだけ食べたの!?』



『だから?』



『だから?じゃないでしょーが!食べるんなら全部食べなさいよ』



ホント呆れる。



『この残ったパン、どーすんのよ……』



『おまえが食えよ』
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