恋する僕らのひみつ。

『イッ……』



声をあげ、痛みで顔をゆがめる湊は、あたしを思いっきり睨みつける。



別に睨まれたって、怖くないし。



そんな湊に対して、あたしは渾身の作り笑顔を見せた。



『では記念に、校内1位に選ばれたおふたりの写真を撮らせていただきますねー!』



しゃ、写真まで撮るの?



『誰だよ、こんなクソみてぇなイベント考えたやつ……うっ』



あたしは、湊のわき腹を殴った。



『へへっ。なんでもないですぅ~』



あたしは笑顔を見せたものの、心の中では写真の恐怖におびえていた。



もしかして、その写真は文化祭後に掲示板に貼り出されるとか?



絶対そうに決まってる。



最悪だ……。



司会のふたりが、あたしたちを見て微笑んでいた。



『仲良しだね~。ふたりはもしかして付き合ってるの?』



『なっ……バカ言わないでくださいよ!ただの幼なじみですってばぁ!』



あたしは慌てて、マイクを通して否定した。



全校生徒に誤解でもされたら困る。



あたしたちが、付き合ってるわけないじゃん。






あたしたちは幼なじみ。



ただの幼なじみ。



これからもずーっと、幼なじみ。



……その、はずだった。
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