恋する僕らのひみつ。



あたしは、わざとふてくされたように見せて、先に歩きだす。



すると、後ろから湊の声が聞こえた。



「おまえさ……何か他に悩みでもあんの?」



「え?」



立ち止まったあたしは、振り向いて湊の顔を見つめた。



「親のことと、快のことの他にさ」



どうして……どうして湊は……。



「……なんでわかるの?」



「なんでって……愛してるから」



胸の奥がぎゅってなった。



「あ、あの、そういう言葉をさぁ、いきなりサラッと言うのやめてくれない?」



「冗談だろ」



「冗談やめーい!愛してっ!愛してくださいっ」



悩みというか、心の片隅でずっと引っかかっていることがある。



2年の文化祭のとき、奈乃の生徒手帳に挟まっていた写真を見たときから。



1枚は、快と快の元カノ、琥都と奈乃の4人が写った写真だった。



けれど、もう1枚の写真は……。



湊にも言えなかった。



湊を信じてないとか、そういう話じゃなくて……このことを口に出すのが怖かったんだ。



「言いたくねぇなら、べつにいいけど」
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