恋する僕らのひみつ。



――――――――……



夜明けの町、東の空がほのかに明るんでいる。



「ハァ、ハァ……っ」



俺は、神社の石段を駆けのぼっていく。



野球部を辞めたあとも続けていた朝夜のランニングは、必ずこの場所に来ていた。



あれから……

こうして、願うことしか。



俺には償うこともなにも、できなくて。



神前に立った俺は、両手を合わせて目を閉じる。



神様、どうか――。



“四葉の手を治してください”
< 567 / 888 >

この作品をシェア

pagetop