静かな涙
小さな部屋の中で

白と黄緑が基調となっている部屋
インテリアは綺麗めに揃えられるように家具自体のデザインではなくレイアウトに凝っている

1Kの私の部屋の中の小さなベッドで私達は静かに横たわり、早めに起きた私は彼のすやすやと眠っている寝顔をじっ…、と見つめていた。

彼は朝が極端に苦手なのでこんな事しょっちゅうだ
こうして寝顔を見ると普段見つからない部分も見えてくる


例えば睫毛長い、肌きれい、ほんと可愛い…女の子みたいだなぁとか色々ある。

こんなに可愛い人がほんとに私の彼氏なんだ…、そう思った瞬間怖くなった。だって付き合えば別れはあるわけなのだから。何かあった訳でなく時々急にそういう恐怖が時々押し寄せる。

私でいいかな?とか
こんなかっこいい彼氏でいいのかな?
他の可愛い女の子に取られちゃったりしないかな?

そういう好きであるからこその不安である

実際の所彼はモテる
この前も告白された~みたいな事言ってたっけ…

少しの寂しさと彼との距離を感じ、言葉は帰ってこないけど

「お願いだから、離れないでよ?」

と言った。
そんなもやもやしたまま彼の黒く天パ掛かった髪を指に絡ませて触ってたり、遊んだりしてると相手が

「ん…」と眠たそうな声を上げ身じろぎした

私は何故だか無意識にばっ!と手を離しぎゅっ、と目を瞑って狸寝入りを始めた
普通にやっと、起きたんだね、っていえば言いものを、何でこんなことしてるの私…
頭の中でツッコミを入れつつバレないように狸寝入りは続けている

それでも彼は気付くことなく、ごそごそと蠢きんー、とか、ぅ?とか寝起き独特の間抜けな声を出し続けている

目を瞑っているため視覚が無く聴覚と気配だけ感じる。多分相手は完全に起きたのかな?
そんな風に油断してたら気配が顔の前に感じた


「…おい、…狸寝入りはやめろ」

まだ寝ぼけたようなでも低い声で私にそう語りかける。
私は思わずびくっと動いてしまった


…バレてる
私はわざと目を眠たそうに開けて「おはよ…」と寝ぼけたように言う
彼は少しむっとしたように私の鼻を摘まんでもう起きてるくせに、と言った

私はそれに対して耐えきれなくなって笑いが零れる

「今何時?」

「んー…10時半」

「……朝飯食いたい。」

「じゃあ作るよ」

「何作ってくれるの?」

「作りながら考える。」

「うわ、まずいの作るなよ?」

「そんなこと言ったら作りませんけど?」

「嘘です、お願いします」

私ははいはい、と言いながら笑い立ち上がろうとすると


「えりか」


名前を呼ばれて振り返る
腕を掴まれひっぱられ、強引にさっきまで寝てた場所にモドサレルと
軽く唇と唇が当たるような優しいキスをされた。
唇が離れると私に向かって

「好きだよ」

と言った
そんなの、ずるいよ
私も彼に抱きつき

「私は大好き」

と言い笑った彼もつられて笑いながらお互いに離さずにぎゅっ、と抱きしめあった



「俺さぁ、」

「ん?」

「えりかとこうしてずっと、2人で飯食ったりしてたい」


「…うん。」

「…俺から離れないでね?」

「…分かってる」

微笑み料理を口に含む
彼は私の言葉を聞きまた美味しそうに一口一口料理を口に運んでいった


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