私とキスと横恋慕。



「平気か?お前。」

「んにゃぁ…ふわふわする…。」


「いやいや、大丈夫だって!
俺たちがお世話するからさ、一年生は飲み会楽しみなよ!」


知らない男の先輩がそんな下らない提案をしてきた。


「いえ、先輩こそ飲み会楽しんでください。」

「フフフッ…」


何笑ってんだ、こいつ。
完全酔ってるな。


「そーですヨ!先輩!
じゃんじゃん飲んどいてくださいヨ!ふふっ…」

「うるせぇ、お前は黙ってろ。」


俺が沙々の口を手で塞ぐと、

「いって!!!」

沙々は思いっきりその手を噛んだ。



「何すんだ、テメー!!」


俺がつい我を忘れて怒鳴ると、
その場はシーンと静まり返った。


や、べ……

約束が…守れな…「黙るのはお前だ、バカ山!!」


静寂の中、沙々が放った一言はサークル全員の耳に届いた。


「私がぁ、どんだけのケンカの修羅場をくぐって……
きたと思ってんだ!
お前の…つり目…もっとつらせてやんぞ!」


意味不明なその台詞も、
修羅場とかの言葉に引っ張られて、すごい不良の脅迫に聞こえたようだ。


サークルのメンバーみんなが、さらに緊張したのを感じた。




< 272 / 277 >

この作品をシェア

pagetop