奏で桜
prologue〜逃亡〜
真白に輝きを放つ満月の月の夜。


その日は何時もよりも
鋭く光っているせいか、
普段、全く届くことのない
霧のカーテンを突き破って
闇を大きく照らしていた。
さらに森全体が騒がしく、
それはまるで森自身が
一つの生き物として活動を
続けているかのようであった。


ーなお、森が騒がしいのは決して
月の光のせいなどではない。




「…見つかりましたか?」


薄いブロンドヘアの
見るからに高貴そうな姿をした
貴婦人は、黒髪で
ショートヘアのメイド服を着た
女性にそう問いかけた。
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