奏で桜
僕はしゃがみ込もうとしたら、
勢い余ってしまったためか、
体勢を崩し、倒れこんでしまったのだ。



「あ…れ…?」



当然、すぐに身体を起こそう
としたが思った通りに体を動かすことが
出来ない。

呼吸もいっそう、荒く、激しくなっていった。
何よりも、寒すぎて身体中の震えが
止まらなかった。



〝やば…い…な、これ…。〟


もはやこの言葉を口から発したのかですら、
僕にはわからなかった。


雪粒は僕に無情にも、
のしかかるかのように降り注ぐ。


それはさながら極寒の毛布を掛けられたよう
であり、無慈悲なる眠気が急激に僕を襲った。


その場所は偶然にも人通りが少なく、
助けを呼ぼうにも声は出ないし、
体も動かせなかった。





ここまで…か。




僕はそう悟った。
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