奏で桜
〝頼もしい合唱団〟?
僕はその少女の言葉を疑問形で
繰り返し、尋ねる。

しかし、その少女はそこまで言うと、
再び自分の演奏に集中するのだった。



ーふと気がつくと、周りから
色々な音が聴こえてきた。

それは小鳥のさえずりであり、
風がなびく音であり、
木々が揺さぶれる音であった。

それらはその少女に引き込まれるか
のように一つの歌となり、
音から音色へと昇華していく。


信じがたいことだが、僕には
本当に合唱しているように
聴こえたのだった。

その演奏は何か華やかなモノを
連想させる。

ーそして、その少女はそこの
中心部にいるのだ。
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