奏で桜

3

ーコンコンっ





「…どうぞ。」


「…失礼します。」



扉を開けると、僕の眼前には
洗練された暗闇が広がっていた。
毎日のように見ている彼女の寝室は
物寂しさを感じるまでに憂いている
ようであったからだ。

そして彼女は窓際にある椅子に
腰掛け、月光に照らされながら、
月を仰ぐように見ていた。


その景色を見て、僕は様々なものを
連想させたが、一番最初に
想像させたものは









ー〝孤独〟であった。
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