奏で桜
〝籠の中の鳥のようであった〟



『籠の中の鳥のようであった。』







「…って、あなたは
考えていそうね。」



彼女は妖しげな瞳を
して薄く微笑んだ。



「…。」



「…図星かしらね。」


…そう言うと、暫く黙り込み、
また言葉を続けた。



「…ねぇ、アル。
お願いがあるの、聞いてくれる?」


「…僕に出来ることならば…。」


「また外の世界のおはなしを
して欲しいの。
私ね、貴方のおはなしを
聞くこと結構好きなのよ?
だから…お願いできるかしら?」
< 58 / 169 >

この作品をシェア

pagetop