イケメン御曹司に独占されてます
「あ、あの、こことここが……。訂正伝票きてないんですかね?」


「うちのシステムと向こうが送ってくるタイミングは確かに違うから、こっちの情報だけで合わせるのは無理だ。まずは正確な数字を出さないと。……何百行もあるんだから、向こうの数字、ひとつひとつエクセルで打ち込んで計算させろ。……お前が電卓たたくよりよっぽど正確だ。お前は間違えるけど、エクセルは間違わない」


池永さんお得意の辛辣な言葉が、ぐさりと胸に突き刺さる。


「入力は俺がしてやる。甘やかすわけじゃないが、お前じゃきっと間違うから効率が悪すぎる。テンキーの入力なら、俺はまず間違わない」


その言葉に尚も落ち込んでいると、ふと優しげになった眼差しが投げられた。


「……別に責めてるわけじゃない。お前より三年余分にあの厳しいオーダー投入で鍛えられてるんだ。できて当たり前だろ? お前だってあと少し経てば、これくらい簡単にできるようになるさ」


唇の端でほんのちょっと微笑んで、私の前から書類をひらりと取ると入力を始める。



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