イケメン御曹司に独占されてます
「あなたを呼んだことは秀明には秘密なの」と悪戯っぽく笑ったおばあ様のなにか企んでいる表情が少し気になったけれど。


ぼんやりしていたところに複数の人の声が聞こえてふと我に返る。立ち上がって玄関ホールに向かうと、賑やかに談笑する女性たちがこちらを振り返る。


「お嬢さん、こんにちは。またお会い出来て嬉しいわ」


先日会った杖をついた老婦人の隣には、なぜか加奈子さんがいる。ふと先日の衝撃的な光景がよみがえり、無意識に胸が痛んだ。


「萌愛ちゃん、こんにちは」


「加奈子さん、どうしてここに?」


「安西先生は、もう子供の頃から私の先生なのよ。押し花を使ったハンドクラフトの先生なの」


安西先生と呼ばれた老婦人が穏やかな笑みを浮かべる。


「まぁ、秀明さんの想い人は加奈子さんのお友達なのね。それじゃあ、もしかしてあのよつ葉のクローバーにも関係があるのかしら?」


胸にどきりとした予感が走る。
よつ葉のクローバーという言葉に、胸を刺すような痛みと切なさを感じる。
何かを思い出しかけた私を現実に引き戻すように、おばあ様が皆を応接間に誘った。
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