イケメン御曹司に独占されてます
「なー、萌愛?」


池永さんが去ったあと、野口くんが我慢しきれない、といった風情で口を開いた。


「昨日のアレなんだけど」


「アレって?」


書類に視線を落としたまま、さもなんでも無いように言う。我ながら、すごくわざとらしい。


「アレについては、俺、萌愛に確認するまではって、七海子にも黙ってた。偉いだろ?」


「……」


「あの超豪華なふたりの間に萌愛って……。岡田さんのこと知らないとか言っといて、お前って実は結構なやり手なの?」


やり手ってなんだ。


「なー、あれって、萌愛をめぐって、あのふたりがモメてるとかっていう……」
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