今宵、君の翼で


「それにしてもさ、フツーこの前みたいなことされただけでも引くのにひき逃げの犯人だって直接言われたって気持ちぶれねーんだな」



この前みたいなことって……



他の女の子とキスしたり、私にひどいこと言ったりしたことだよね。



「翼は私のダメなところも良いところも全部受け止めてくれたんです。絶対嫌われるだろうなって思ってた事も全部わかってて……それでも私の事好きでいてくれたから」



援助交際してた事も、知っていたのに付き合ってくれたんだよね。



「翼といると心が温かくなって幸せで満たされるんです。こんな気持ち初めてで……私、どんなことがあっても翼とずっと一緒にいたいって思ったんです。翼は私の光だから」



自分で言ってて泣けてきた。


翼がいなくなったらって考えれば考えるほど怖くなる。


どうやって生きていったらいいのかわからなくなる。



それくらい、私の中で翼は大きな存在になっていたんだ。



「俺さ、翼の元カノたち見てきてたから、美羽もすぐ逃げ出すのかと思ってたんだよ。でも違うな。すげぇ強いと思う。これからも翼のそばにいてやってよ。アイツには美羽が合うわ」


四条さんが優しく笑った。


四条さん、私が翼のことを見捨てるかどうか、試していたのかも。


本当は翼のことをすごく思ってくれていたんだね……




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