今宵、君の翼で


「え…佐久間さん!?」


その声に振り返ると、そこにいたのは村上くんだった。


他のクラスの男子も一緒にいる。


みんな私の事をジロジロ見ている。


「あ?村上、佐久間さんと知り合いかよ!?」
「マジで!?どういう関係!?」


村上くんの友達は興味津々に聞いてくる。


「どういう関係もなんも…ただのバイト仲間だよ」


そういうと、みんな「つまんねぇ~」と口々に言っていた。



「もしかして…彼氏と?」


「う、うん…」


あれから村上くんと同じシフトの時もあったけど、夏休み中は忙しくて中々ゆっくり話せずにいた。


「マジかーいいなぁ…浴衣姿めっちゃ可愛いなぁ…」


村上くんって…いつもそんな事簡単に言っちゃうんだから…


するとその時、体が後ろに引っ張られた。


「なにしてんだよ、てめーら」


翼だった。


ナンパと勘違いしているのかも!?


翼はすごい形相で村上くん達を睨んでいる。


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