Heaven~第ニ章~
「何?」

「いや、」

「言いたいことあるなら、はっきり言えば?」


獅朗はさっきまで蓮沼が居た場所に座った。


「本気に欲しいモノが手に入らなかったら、椿……お前はどうする?」

「何の話?」


聞き返しても獅朗はそれ以上何も言わない。


「そんなのわかんない……欲しいモノが手に入ったことなんて一度もないから」


欲しいと願ったモノが手に入った時の喜びなんて知らない。
欲しいと願っても、それは私には絶望しか与えてくれなかった。


「そうか、」


そんな答えで納得したのか、獅朗はそう言って「帰るぞ」と席を立った。

店の駐車場には黒塗りの車。
車の脇には腕を組み嵐が待っていた。

「蓮沼は?」

獅朗と同じことを聞いてくる。

「先に帰った」

そう答え何時ものように後部座席に座った。

< 31 / 231 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop