Heaven~第ニ章~
「あれ、真澄君じゃん」


甘い香水の匂いに顔が歪んでしまう。
だけど、名前を呼ばれた真澄は気にならないように「久しぶりだね」と笑っている。


「誰?」


小声で幸二に聞くと「真澄の追っかけみたいな」と手元のグラスを飲み干した。
幸二の態度から、きっと真澄にとってあの女は良い女じゃない。


「酒貰ってくる」


幸二はよほどその女が嫌いらしく、その場から離れた。

真澄は隣には居るけど、完全に私に背中を向けていた。

真澄から少し離れて会場の壁によりかかる。


はぁ……
疲れた……――


肩にあるストールをギュッと握りしめた。

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