お隣さんはイケボなあなた

ようやく、自分の部屋番号がかかげられている、ドアの前につく。


「あー……鍵……」


もちろん、鍵がなければドアは開かない。

鞄の中を手探りで探したけれど、見つからなかった。

イラッとして、かばんの中身床にぶちまけた。

ドサッ、という音と一緒に、色んな物が玄関の前に拡がった。

その中から鍵を見つけようとすると、下を向いたせいか、余計に吐き気が増す。


「うっ……」


ふざけている場合じゃなくて、ほんとうにヤバイ。

千紗がそう思った時だった。
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