流れ星に4回目の願いを呟く時。
1. 思春期のスイッチ


 夕暮れの帰り道に水溜まりを見つけて、長靴もはかずに一気に飛び込む。


「足が濡れて気持ちが悪いけど、今日1日嫌な事があっても、これで全部とれちゃう感じがするよね。」と、彼は笑いながら言った。


 私は、明日も明後日も雨が降ればいいのに、と思った。


 思春期は、誰にでも突然やってくる。


 身体が少しずつ変わって、母親や担任の先生と同じように胸が膨らみ、締まりのなかった顔がクっと引き締まる。


 スカートの中を見られることが「嫌」から「誰にでもは嫌」だ、と気付いたりする。


 私もそうなのだ。


 中学時代の同級生に恋い焦がれたあの日から、何も変わっていない。
 
 ずっと、あの日の思春期を、未だ過ごしている。




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