流れ星に4回目の願いを呟く時。
 返事を書けないまま迎えた翌日。園でちょっとした事件が起きた。


「すみません。」


 職員室に着くと、園長室の方から声が微かに聞こえた。


「何かあったの。」


 先に響子が来ていたので事情を聴くと、深刻な顔をして響子が答えた。


「いや、私もよくは分からないんですけど、事務員さんが園長室に呼ばれてるんです。何か書類がどうとかって言って園長先生が珍しく声を大きくしていたので、何かまずいことでもあったのかもです。」


 響子はおろおろしながら朝の連絡会議の準備にも手が付かないといった感じだった。


 何かまずいこと。


 考えられるとすれば、個人情報の流出。いや、行事予定表の提出が遅れているとか。もしくは大事な書類を失くしたとかも考えられる。


「とにかく、朝の連絡会の準備をしておきましょう。園長先生は優秀だし、優しいのよ。きっと直ぐに解決してくれるわよ。」


 そう言うと、響子は静かに頷いて、少し落ち着きを取り戻したようだった。


 しかしそうは言いながら、私も中々落ち着けないまま仕事に取り掛かった。






 



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