私の小さな願い事
依里は、桂からの誘いを断った

だが、夢を見たのだとか



それで、出家したのに帰俗し
江戸に桂と来たそうだ



その夢というのは



「総司を看取れたよ
間に合ってよかった」



近藤さんから、総司を見舞って欲しいと
頼まれた


「歳三… 戦やめられない?
これ以上は、お互いに死者を増やすだけだよ? ねぇ やめようよ?」

「依里、それは無理だ
他の奴らがどうかしらねぇが俺は、会津へ
忠義を誓った
逃げる訳にはいかねぇ」

依里が小さな体を震わせ、泣く

「ごめんな…
依里… ごめんな…」


きっと


これが最後なのだろう


だから、足が痛いけど

依里を抱いた



ずっと泣いてばかりで、いや……

泣かせてばかりで


だから







「依里…さよなら」









泣き疲れ、眠る依里に別れの言葉をかけた









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