恋の相手は強引上司

前途多難?!

「1番行ってきます」

大越デパートには社員用語がある。

1番はお昼休憩

2番は休憩

そして

3番はお手洗い

今日は早番なので1番は私がトップバッター

社員食堂はまだ人がまばらで自分のお気に入りの席にもすんなり座れた。

今日は鯖の味噌煮定食だ。

社食は正直あまり美味しくない。そもそもデパ地下に美味しいのものがあるからといって

社食が美味しいとは限らない。

だが鯖の味噌煮定食に限っては例外でとても美味しいのだ。

社食は8階にあり眺めもいいので席が空いている時は窓側によく座る。

手を合わせ小さくいただきますと言って鯖の味噌煮に箸を伸ばしていると

目の前に影が出来た。目だけを上にあげると

トレーを持った一馬・・・いや、土屋課長が満面の笑みで立っていた。

「か・・・つ・・土屋課長・・・・」

「ここ座っていいかな?真壁さん」

何が真壁さんよ。

わざとらしい

「・・・・・他にもたくさんお席空いてますけど?」

周りを見渡すように言うと、女性陣がトレーを持ったままこっちを見ていた。

いや、視線は全て土屋課長に向いていた。

しかも目はハートになってるし

「フッ・・・今朝のこと怒ってんだろう?」

周りの熱い視線など無視するかの様に

土屋課長は片方の口角をあげると顔をぐっと近づけ耳元で囁きながら座った。
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