恋の相手は強引上司

運命的な出会い?

独り言を言ったつもりだったのに聞こえてた?

まさかうちの会社の人?脱出失敗?

ビクビクしながら振り返ると

声の主に目を丸くした。

だって・・・後ろから声をかけてきたのは今さっき店の出入り口でぶつかった男の子だったから・・・


「私・・・独り言言ったつもりだったんだけど・・・聞こえちゃいました?」

「聞こえちゃいました」

帽子と夜のせいで相手の表情は口元しかわからないが

口角がかなり上がっていた。

しかし、初対面の人といきなり一緒に飲むなんて今までの人生では有り得ない。

私をからかってる?

いいよ。飲みましょうって返事したら『なーんちゃんてそんなことあるかブス』とか

いわれる?

この状況でポジティブに考えられ訳がなく

「あの・・・すみません。私は一人で飲もうをしてたんです。あなただって約束があって
居酒屋にきたんじゃないんですか?」

すると男性はチラリと後ろの居酒屋を見るとまた視線を私に戻した。

「そうだったんだけど・・・・俺、宴会とか正直苦手で本当は参加するつもりはなかったんだ。
だからわざと遅れてきたんだけど、やっぱり嫌で店を出たらあなたが『もう1件いっちゃいますか!』
って大きな独り言言ってて・・・それ聞いたら俺、あなたと飲みたいなって思って」

いつもならこんなこと言われても

無視して歩き出すのだろうけど

さっきの居酒屋で少し飲んでて気が大きくなっていたのだろうか


「私の行く居酒屋はこんなおしゃれじゃないですよ。カウンターとテーブル席が3つくらいある
小さなところで常連客しか来ないようなことだよ」

普段だったら絶対有り得ない態度を取っていた。
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