恋の相手は強引上司
「・・・・・・・!!!」

私の驚く顔を見た一馬はご機嫌だ。

「な?すごいだろう。今日は天気がいいから向こうの島まで見えるね」

私は頷くだけで精一杯だった。

ジャングルジムのてっぺんから見た景色は港が一望できる公園で

地元の隠れたデートスポットらしい。

一馬が言うように天気がいいから遠くの小さな島まで見える。

「直接海を見るのもいいけど、ここからだと一望できるんだ。
夜景の方がもっと良くてね、灯台の灯りとか・・・・漁船のライトさえイルミネーションの様に
見えて、本当はそれを見せたかったんだけど・・・それはまた今度な」

「うん。ありがとう・・・・でもなんでここを知ってるの?」

「ん?ここは昔俺が住んでいた町だったんだ」

「・・そうなんだ」

「さっきも言ったけど地元の隠れたデートスポットでね。俺が中学の時、ここの前の道が通学路でね
公園を横切った方が近道だからよくここを通ってたんだけど
カップルがさ、こうやってジャングルジムのてっぺんに登って
手を繋いで肩寄せあって夜景を見ているのを何度か目撃してね。
純粋に自分もやってみたいって思ってたんだ。そして今日、念願かなったんだ」

一馬は照れくさそうに前を向いたまま話してくれた。
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