恋の相手は強引上司

一馬編・・・・執着してるのは俺だけかっ?!

1週間後、デパートからスーツが出来上がったと連絡が来たよと母が言った。

「電話ってどんな人だった?」

「は?どんなって・・・・女の人だけど?」

訝しげに見られ、何かつっこまれるんじゃ・・・・と思い

「あっ・・そう~~わかった」

とそのまま階段を上ろうとしたが

「一馬、スーツが出来上がったっていうんだから・・・・そろそろ
将来のこと考えたら?」

俺の両親は俺のやることに余り口を出さない方だ。

やりたいことがあれば挑戦したらいい。

但し、お金がかかりそうなら事前に言えって感じで

俺の考えを尊重してくれていた。

俺にはとてもありがたい両親だと思う。


就職に関してもほとんど口を出さなかったが

本当になにも行動する気配がないのにはさすがに心配したのだろう・・・・

そして母が考え抜いた打開策が『スーツを買ってやる気スイッチを押しちゃえ!』

あまり心配かけたくなくて今回は素直に言うことを聞くことにしたのだが乗り気じゃなかった。

でも買いに言ったデパートで面白い店員との出会い。

俺の周りには自分をみてとばかりにアピールする女がいる中

紳士物の売り場にいた『恋が実る』と書いて恋実という名の販売員は

今までにないタイプの女性だった。

絶対に俺の目を見ないし、すぐに顔を真っ赤にさせ、まるでゆでダコ

その割にいい仕事をしてくれる。

そして一番の驚きは同い年って事。

ここポイント高いよね。

俺的にはもうちょい上かな~って思ったんだ。

垢抜けてないからなんだろうけど・・・

そんな彼女に興味を持った。

興味を持ったからといって食事に誘うとかそういった気持ちは

意外にも起きなかった。

ただ・・・もう一度話がしたかった。

なんとなくだけど・・・・



だが、そんな俺の希望は叶えられなかった。
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