美しき夜、北斗七星が輝く

萌side










「…ここはどこでしょうか?」




私は迷路の通路のど真ん中に立って呟いた

その呟きは丁度吹いた風によって消えた




美夜みたいに方向音痴じゃないはずなのに

どうやら小谷萌ちゃんは迷子になってしまったみたいです

無事にゴールに辿り着けるかな?

方向音痴でも辿り着けるって

入り口の毒舌スタッフさんは言っていたけど

何だか心配だなぁ




「これじゃ樹や白羽に先越されちゃうよ」



独り言をこぼして歩きだす

やっぱりさっきの道右へ行けば良かったかな?

左へ来てしまったのがいけなかった?





「……ん?」





思えば次の分岐点まで真っ直ぐに道が続いている

綺麗なほど真っ直ぐに

まるで校庭に引かれた50メートル走の白線みたいに




「…走ってみようかな?」




あたしは誰もいないことを良いことに

手を地面に付きお尻を高くする

まるで陸上選手みたいなポーズを取った






< 29 / 271 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop