イジワル社長と偽恋契約
そしてバージンロードを進んでいくと…

神父さんの前に立つ白いタキシード姿の旭さんが…


大袈裟でもお世辞でもなく…

本物の王子様みたいに見えた…


私にとって彼は永遠に王子様だから。




お父さんから離れると、旭さんは父に軽く頭を下げた後で私に手を伸ばして来る。


私はその手を握りしめて、

今度は旭さんの腕に手を添えた。




自然と涙が溢れて来る…

幸せ過ぎて…たまらないよ…



神父さんのお言葉と誓いの言葉を終えると、指輪の交換を済ますと最後は誓いのキス…

旭さんはそっと私のベールを外した。


目の前にいるのは紛れもなく私の夫だけれど、

こんなにかっこよくて完璧な人が?と…どこか疑ってしまう自分がいた。


いつまでも旭さんが夫だということに慣れないでいる…







「この結婚……嘘じゃないですよね?」


思わず夫に聞いてしまった…

旭さんはクスッと笑って口を開く。





「嘘なわけないだろう」


そう言った後旭さんが私にそっとキスをする。

私の目から涙がこぼれ落ちた…


ちゃんと旭さんを感じた…

嘘や偽りは一切ない。


周りからは拍手やヒューヒューとひやかすような声がしていたけれど、

今の私は旭さんしか見えていないし、周りの声は聞こえなかった。





「ほらな」

「うん…」


旭さんが私をぎゅっと抱きしめる。




上司と部下の関係を越して夫婦になった。


また会社に戻れば社長と秘書の関係に戻ることになるのだが…

私達の関係は続いていく…


永遠に社長に恋する秘書でいられますようにと…

私はこの日繰り返しながら強く祈った。






END
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