rain kiss『完』
~喧嘩~


今年もまた、この季節がやってきた。




本当の家族の命日。




毎年この日は雨なんだよね。でも、今年は雨でも嫌じゃないんだ。

新が居るから。



ザーー。



「天国、楽しいかな?」
「…。楽しいかはわからない。生きてたかったって思ってると思うよ。でも、空から優美の事見守ってくれてるよ。」

「…うん。私さ、本当の事を言うと、お墓にきたのはじめてなんだよね。今までずっと嫌がってた。ほら。入院してた時言ったけど、もう居ないんだー…って、信じたくなかったからさあ。」



今日、お墓に行こうって言い出したのは新。
私…寒くて震えてるのかな?
足がなんだか震えんだよね。頭も痛いし。



花を置いて、私達はお墓をあとにした。

「あ、私、ここでいいや。友達と待ち合わせしてるんだよねっ。」

「はいよ。…よく頑張ったな。」

「あははっ♪私も強くなんなくちゃねっ。ばいばーい。」

「ぁあ。」





……。
私は、新が見えなくなってから歩きだした。友達と待ち合わせなんて嘘。







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