交わらない赤い糸
アホくさいと思いながら、毎日を過ごす。



大学もバイト先も家も一緒。



他の男を好きな子を好きになった。



「夏目ー!電車行ってまう!」


「分かってるってー」



俺が好きな奴やなくてええ。



この世界におってくれたらって思ってた。



そう思ってたのに。



グサッ



俺を庇って、俺の目の前で刺された。



昼間に店に来てた男。



「美央っ!!美央っっ!!」



何で、そんな望みすら神様は認めてくれんの?



ヒョイッ



「…俺が運ぶ」



刺された美央︎を運ぶ平野。



かっこええけど、全部あんたのせい。



きっとあんたのストーカーの仕業。



タッタッ…



彼女が生きてて幸せに過ごすことを見守る…。



俺にはそんな事しか出来んかった。



だから、ごめん。



1年も君と好きな人を離れ離れにして。



「全部お前の為なんやで」



頑固オヤジみたいな古臭い理由並べて美央の幸せを少しだけ奪った。



「…もうすぐ桜咲くなー?」



ほら。



強がってる。



そんなんやったら離さんかったらよかった。



「…ごめん」



片想いの後悔。



なるべく、君のヒーローになりたかったのに、恨まれる悪役ポジション。



でも一度も俺を攻めんかったよな。



「夏目くん、退院したら美味しい焼肉行こなー?」



ありがとう。



でも、無理して笑わんでええよ。



あ、俺がそんな笑顔にしたんか…。



ごめん。



平野に最後に伝えたその言葉。



だから早く再会してほしかった。



だからわざわざディズニーなんか選んだ。



アイツが、言ってたから。



1番好きな場所って。



「楽しみやな、東京ディズニーランド」



罪償い。



俺はズルい男や。



もしかしたら…なんてちっぽけな可能性。



その可能性を信じて、るきと、美央と3人でのディズニーランド。



「うわっ!わぁ〜!」


「やばっ!」



テンションの高いお二人さん。



俺も初めてでちょっと楽しんでた。



…あっ。



ちっぽけな可能性は、どうやら大きな可能性になりそうです。



ちっこい中学生と鉄パイプくん。



その2人がおるんが見えたことはまだ秘密。



「ぎゃっ。スマホ忘れたから取ってくる」



…予想外。



まさかの美央と二人っきり。



でもええや。



ちょっとぐらい、ええやんな?



なんて思ってたら、



「何か食べ物買ってくるわー」



まさかの放置プレイ。



…だっさ、俺。



「…少しぐらい優しくしろや」



神様はどうやらSなようです。



ザワザワ…



夜のパレードの時やった。



人混みの中、るきと二人でわざと美央とはぐれた。



「ほんまによかったん?」


「アイツ絶対来るから」


「やなくて、あんたの気持ち」



…!?



…おっと?気付かれてたんや。



「…勝てへんなぁー…」


「ま、あんたならええ子すぐに見つかるって!」


「確信なさすぎやから、笑」



それでも、るきの一言で何となく気持ちが楽になった。



「…うん。幸せならええねん」



神様、何となく、また次の恋を探してみるんで、応援してな?




ーおわりー
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