鈍感ちゃんと意地悪くんのその後の物語
瀬田君家族と、美空(鈴木ありさ)
わたしは一人、商店街を歩いていた。
冷えるなぁ、手袋をしていても、手先が冷たい。
両手をこすり合わせて、白い息を吹きかけた。

今日は、親友の美空は、実家の喫茶店でバイトの日。
ついでに、クラスの仲の良い友達も用事があるとのことで、久しぶりの一人の放課後だ。
何をして過ごそうか。
まっすぐ帰るのはもったいないような気がして、考える。

あ、そうだ。
美空が、面白い小説買ったの! 今度貸すね、って、言ってたっけ。
美空からその小説を借りて、美空のお母さんの喫茶店で、ゆったり読もう。

わたしはそう考えて、美空のお母さんの喫茶店「空色」に向かっていた。

< 85 / 434 >

この作品をシェア

pagetop