腹黒王子と秘密の契約
王子様の本性
ノルディア王国の王都で盛大な歓迎パレードが行われた日の翌日、ノルディア城の執務室にいるクリフォードは重厚な執務机に向かい、山積みにされた書類に順に目を通していた。

過度な装飾のない落ち着きと品性が感じられるこの空間で、公務のない日などは一日の大半を過ごしている。

ワイン祭の最終日である今日は毎年恒例になっている行事、ノルディア交響楽団の演奏をノルディア王国に訪問中のギルト王国の国王であるユアンと共に鑑賞する予定になっている。

そして日も暮れると、祭のフィナーレを飾る花火が打ち上げられ、連日盛り上がりを見せたワイン祭は終わりを迎える。

一区切りついたところで手にしていた書類を執務机に置くと、クリフォードは壁に掛かる時計へと視線を向けた。

そろそろ公務の準備に取り掛かる時間かと考えていたところ、まるでタイミングを計ったかのように執務室の扉が外から叩かれた。





「…体調不良?」

「はい。体調が優れないということで今日の公務はキャンセルされたいとのことです」

執務室を訪れたトーマスの報告を受け、クリフォードは座っていた革張りの椅子の背もたれにゆっくりと身を沈める。
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