腹黒王子と秘密の契約
「あの彼に、そこまでの度胸があるとも思えないけどね。
そんなことをしたらどうなるのか、それがわからないほど馬鹿でもないだろうし」

「そうですね。
今日のパレードは、昨日の非公式の面談とは訳が違いますから」

「ああ、全くその通りだ」

やれやれと肩をすくめるクリフォードの苦労に、トーマスも同情し苦笑してしまう。

そして再び深く礼をすると、与えられた任務のために退室する。

クリフォードもその後ろ姿を見送ると、すぐに席を立った。

有能なあの男に任せておけば、これでひとまず安心できる。

ギルト王国の若き国王には悪いけれど、あまり好き勝手をされてはこちらにも被害が及ぶ。

滞りなく今日の式典を進めるためにも、ノルディア王国での公務はしっかりこなしてもらわなくては。

ノルディア城の長い廊下を足早に歩くクリフォードは、普段の柔らかい雰囲気とはかけ離れた、どこか冷たい表情をしているのだった。





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