ほんの少し背伸びして
1章
「ねぇ、」


『…』


「ねぇ、聞いてる?」


彼の足に跨がり声をかける。


何度声をかけてもソファ横向きに腰掛け長い足を放り出し、優雅に読書をしている彼はこっちを向いてくれない。


無視。無視。無視。


私が一方的に話しかけているだけだ。


もういいもんっ



彼の態度に我慢の限界が来てひとりで勝手にふてくされ、リビングを出る。



もちろん、ドアを強く閉めることは忘れずに。


精一杯の怒ってますよアピールだ。



まったくもう!!彼の恋人は本かっての!!



恋人は私なのに、


彼女は、私なのに。
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