双姫 Ⅰ

鬼ごっこ



「今、なんて言った…?」


私は今も男装してる。
『神崎 蒼翔』の姿をしてるんだ。


「朱音…それが本当の名前だよね?」


「どうして…なんで知ってるの!?」


バレてる。どうして、女だって。


「…蒼翔が女だって事は知ってた。」


は?知ってた??


「いつ…から……?」


「屋上で抱き締められた時に…その……うん…。」


あぁ…成程。

ない胸が当たってしまった訳ですか。
不覚…。てか、なんで 類が赤くなんのよ。
アンタ女嫌いな筈でしょ?


『…騙しててごめん。
その様子だと聞いたんでしょ?
私が『蛇蝎』を追ってる理由。』


「……恨んでるから、だよね?」


『知ってるならなんでここに来た。
あれだけボコって遠ざけたのに!!
『蛇蝎』に狙われたらどうすんのよ!』


「俺らは朱音の復讐を止めたいんだ…。」


『は?止める?私を??
一度ボコられただけじゃ学習しねぇのか!』


素直に引き下がらない類に苛立ち
殴りかかろうとした。


「朱音!止めろッ!!」


『…ッ!?』


大声に驚き、立ち止まった。


< 224 / 463 >

この作品をシェア

pagetop