双姫 Ⅰ

和解



「たらいま~♪」


「なんですか、それ。」


「えぇ?ただいまって意味だよ?」


『おかえり~!随分遅かったね?』


買出しに行ってたメンバーが帰って来た。


「あぁ、ちょっと話し込んでてな。
もう連れて来た方が
話が早いと思ったから連れて来た。」


玲達の後ろに隠れていたのは


『紘にぃ…。』


『神龍』だった。


「朱音…あー無事で良かったよ。」


紘にぃは私と目を合わせず床を見て話す。

私が酷い事言ったからだ。


『…ッ……紘にぃ!!』


私は勢い任せに紘にぃに抱き着いた。

男で鍛えてるからか
紘にぃは簡単に私を受け止める。


『酷い事言ってごめんッ!
私…本当は紘にぃの事お兄ちゃんって思ってる!

父さんも母さんの事も!
あんな事言ってごめんなさいぃー!』


あんなの本心じゃなかった。
でも、蒼空に出来なかった家族が
私なんかに出来て良いのかって思ってたの。


「……ッ…馬鹿野郎。
兄ちゃんを泣かせんなよな…!」


『紘にぃ~…!』


「ったく世話のかかる妹だな!」


ギューギューと抱き締めると
紘にぃも抱き締め返してくれた。


それが堪らなく嬉しかった。


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