貴公子?いいえ、俺様男です
番外編

通じ合う心

「なあ、里菜は、なぜ職人さんになってんの?」

工房近くの私のアパートで、シュウさんと向かい合わせに座る。

「絵付けの勉強をしてみたくて?」

「なぜ疑問系?…まあ、いいや。

絵付けなら、教室に来てる井口さん…あの人、ポーセリンペインティングの先生だぞ?」

「え?井口さん⁇…そうなんだ…」

ギシ…

椅子に座っていた私の両側に手をかけるシュウさんが、距離を詰めてくる。

「本当のこと…言って。
勉強したいのも理由の一つかもしれないけど、一番の理由は俺のせいじゃないのか?」

「違うの、シュウさん。
私が弱虫なの。お店で一人で留守番してるうちに、いろいろ考えて気づいたの。

シュウさんはすごい人なのに、私には何もないって」








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