強引な次期社長に独り占めされてます!
「……すみません」

「いや。謝るな。自分でもガキっぽい事を言ってるのはわかってる」

またぷいっと顔をそむけられるから、ちょっとだけ困ってしまった。

いい大人も拗ねるんだな。

だから繋いだ手のひらを、キュッと握ったら、驚いたように見下ろされる。

「上原さんは、直接、言ってくれるから、助かります」

「……そうかぁ?」

「私、一人しか付き合ったことないし……」

しかも、その人からすると“可哀想”だから付き合ってくれたんだし。

「戸惑いはしますけど、嫌じゃないです」

微笑むと、上原さんは少しだけ目を丸くして、そして照れくさそうにはにかんだ。

「……悪い。少し愚痴ったな」

「……頑張って、しゃべるようにしますから」

「おう……」

それから二人でタクシー乗り場まで歩きながら、他愛もないおしゃべりをして過ごす。

話していたら、何となく話足りなくなって、近所のファミレスに誘った。

そして最後に、

「白いタイツは俺には似合わないな」

……確かに、王子様は白タイツかもしれないけれど。

その言葉に、色んな事が見抜かれたらしくて赤面するしかなかった。









< 167 / 270 >

この作品をシェア

pagetop