強引な次期社長に独り占めされてます!
「松浦ちゃん、いきなり主任と仲良くなったねー」

芳賀さんがコンビニパンの袋をガサゴソ開けながら、座って仕事を始めだした主任を恐る恐る窺っている。

「……どうしてでしょうか?」

「知らないよ。私は松浦ちゃんより先輩ではあるけど、上原主任と仲良く話す事もないし。野間さんの方が同期なんだから、野間さんに聞けばいいんじゃないの?」

「野間さんとですか? それは知らなかったです」

そう言われれば、主任と野間さんは仲が良さそうだよね。

まぁ、私には関係ないけど。

気を取り直して弁当を食べ終わると、空になった弁当箱をロッカーに戻してから帰り際に自動販売機でお茶を買う。

販売口からペットボトルを取り出したところで名前を呼ばれた。

「ああ。いたいた、松浦さん」

振り向くと、ペラペラのスタッフジャンパーを着た高井さんが笑顔で近づいてくる。

「忙しくてなかなか社に戻れなかったんだけど、その後は調子戻った?」

この間は、我ながらひどいことをした記憶もあるのに人懐こい笑顔だなぁ。
イベントスタッフさんらしいと言うか……色んな人がいるけど、やっぱり明るい人が多いよね。

「瘤も傷も残りませんでしたし、大丈夫です」

「体調はどう? あれから」

「そんな。体調は特になんともないです。事故なんですから、気になさらなくても問題ありませんから」

高井さんも身長高い。180は余裕で越えているよね。
見上げていると、クスッと笑われた気がした。

「前髪で顔を隠しちゃってるんだね。可愛いのにもったいないよ」

「……か」

可愛いとか言いましたかっ!?
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