強引な次期社長に独り占めされてます!
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そして火曜日の終業後、事務所を出てロッカールームに荷物を取りに行くと、珍しく営業部の人たちで溢れていた。

総務課関係の人たちが使うロッカーの列の裏側に彼女たちのロッカーがあって、姿は見えないけど話し声はよく聞こえる。

……営業部の人って苦手なんだよな。
声が大きいし、ちょっと遠慮がないって言うか。

荷物を取ってさっさと行っちゃおう。

「……って、その事務の女、狙ったんじゃないのぉ?」

「ああ、そうかも。後ろから押されたからって手もつかずに、頭からぶっ倒れる人間なんていないよね」

この間の私がそうかな。……それってもしかして私のこと?

気になったけど、ここで聞き耳を立てていても仕方がないし、荷物とコートを取ると、急いでロッカールームを後にした。

社員入口を抜けて、珍しくコート姿の高井さんを見つけて近寄ると、笑顔が返ってくる。

「すみません、お待たせしました。寒かったでしょう」

「大丈夫。中で待っていたら、ちょっと目立つから」

ああ。確かに。社員入口は警備員さんの窓口があるだけで簡素だから、そこにこんな長身が立っていたら目立つかも。

「すみません。どこかのお店で待ち合わせすればよかったですね」

「気にしなくてもいいよ。俺がここでと言ったんだし。近場のお店でもいいかな?」

急に話題が変わって、瞬きしながら頷いた。
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