君を想う【実話】


「瑠奈んちくるの久しぶりだな」


智也は嬉しそうに、大きなぬいぐるみを抱き締める



よく考えたら、お兄ちゃんの言葉なんて気にする必要がなかった




"親父"




そんなもの




瑠奈には関係ないのだから..





「るーなっ。聞いてる?」


ハッと我に返ると、目の前に智也の顔があった


少し眉間にしわを寄せて、首を傾げてる



「ごめんごめん!で、なんだっけ?」


「..しばらく仕事が忙しくなるって話」


智也はそう言って、ソファーに深く腰かけた



「え?じゃぁ..」


「そう。だから、今みたいに毎日会ったりはできなくなる」


淡々と話しながら、溜め息のように煙草の煙をはきだす



「..そっか」


「おう」


あまりにも普通すぎる智也に、溜め息が漏れた




瑠奈なんて今、話を聞いただけで寂しくてしょうがないのに..




「..智也は、寂しくないの?」



思わず出た言葉



言った後に後悔した




がんばってね、無理しないでね、とか、もっと他に言うことがあったのに..




でも、なんだか自分だけが寂しいみたいで、不安なんだ..



< 344 / 436 >

この作品をシェア

pagetop