君を想う【実話】


「もう、三年かぁ..」


瑠奈の独り言が聞こえていたようで、智也が繰り返し呟く


瑠奈は、ジュースをコップに注いで、ケーキをお皿にうつした


「なんで長袖なの?暑くね?」


智也はその様子を見ながら、不思議そうに瑠奈の服を摘んだ


「風邪気味でさ。少し寒くて」


嘘をつく後ろめたさよりも、バレないことを祈る


「平気か?辛かったら言えよ?寝ててもいいかんな?」


心配そうな顔で、瑠奈の顔を覗き込む智也


大きな手が、瑠奈の頬を撫でる


「..うん、ケーキ食べたら治るよ!」


瑠奈は自然に、智也から目を反らした



智也の真っ直ぐな瞳に


何もかも読み取られてしまいそうで..



優しい言葉に


涙がこぼれそうだったから..




「おいしいっ!」


そんな気持ちをごまかすように、ケーキを一口、口に入れた


「ほんと瑠奈は、甘いもん好きだな」


智也は、自分のケーキを半分にして、半分を瑠奈のお皿にのせる


甘いものが得意でない智也は、いつも半分瑠奈にくれた


そんないつもの些細な行為でさえ、瑠奈の胸を締め付ける
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