瞳の中で誰よりも

「はあ」

「どしたー?」


二度目の溜息をついたところで夕紀さんが隣に来た。

右手にはパック型のミルクティー。
左手には煙草。

すごいギャップだ。


「いや、ランチ疲れちゃって、へへ」

人の話を聞くのはいいけど、自分の話なんかしたくない。

さりげなく交わして笑ってみせる。

そんな私の顔を夕紀さんは静かに見つめた。


「そかそか、まあ話したくないこともあるよな」

ミルクティーを飲んでいつもの笑顔を浮かべる夕紀さん。

見透かされてる。

そう思った瞬間、胸がドクンと、全身に響き渡るように鳴った。

息がしづらくなった。


見透かされるのは、苦手だ。


< 11 / 17 >

この作品をシェア

pagetop