『ゆる彼』とワケあり結婚、始まりました。
下らないお遊びなんかに付き合う気分じゃないよ…と言うと、「ノンノン!」と人差し指を左右に振った。


「…コレ、愛理が今言ったモノ!…お・み・あ・い・写・真!」


ニタ〜ッと締まらない笑顔を見せて、寝転がってるあたしの横に来た。
ペッタリと頭をくっ付けて、「ほらほら」と突き付ける。


「仁科(にしな)の叔母さんがね、愛理にどうか…って、つい最近持って来たの!結構感じのイイ人っぽかったから一応預かったんだけど。見てみる?見てみてっ!」


若い子と恋バナしているみたいな気がしてくる。
気だけは若いつもりでいる母と、生まれて初めてのお見合い写真を開いてみた。


薄っぺらい和紙みたいな紙をめくって、現れたのはもちろん男性。

濃紺のスーツをきちんと着て、ヨーロピアン風な椅子の背もたれに手を掛けている。


真面目そうな面立ちで、顔は丸長。

眉毛は少し短か目だけど、麻呂って程でもないからいい。

鼻は少し低めかな。先が丸いから、お団子…って言うと当たりかもしれない。

唇は薄く見える。

でも、それはキュッと口を閉めてるせいでもある。

耳たぶは厚めで大きいから、きっと健康で長生きできるタイプだと思うし、首もどっちかって言うと太めだから、そう軟弱な体質でもなさそう。

何より、その体つき。

ふっくらとして、少しお腹が出てるかな…。

見苦しい程じゃないけど、引き締まってるとは言い難い。

付け加えて、この目…。


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