『ゆる彼』とワケあり結婚、始まりました。
「あ…安心って……」



(…そんなの、できる訳ないでしょ!!)


ますます頭の中がパニクる。

誰もいないってことは、二人きりってことだよね。

二人きりで何するの⁉︎

遊んだり…とか、まず考え難いし、だったら食事…⁉︎


あ、そうか。あたし晩ご飯まだだった。
あっ、でも、剛さんはきっと食べてるだろうし。


…だったら何する⁉︎

まさか……



「………………」



変なことを考えてしまって、あたしは思わず赤面してしまった。
まともに彼の顔も見れない気がしてきて、ススス…とソファの端っこに寄った。

こっちを見てるふうな感じの剛さんに目もやれず、黙り込んでしまう。

頭の中で考えたのは、最後に男性と寝たのはいつだったろう…ってことだった。


(……武内の後で付き合った人達とは、いつも直ぐに別れてたから何もそんな事しなかったよね。大抵は騙されたり嫌な目に合ったりして、別れを切り出そうとしたら向こうからフラれるってパターンばかりだったし。
……だとしたら何⁉︎ もしかして、あたし、あの武内との夜が最後ってことになる⁉︎ あれが最後ならヤダ。あんな記憶、絶対に残しておきたくないっ!!)


ぎゅっと掌を握りしめた。
思い出したくもない過去の出来事を、何とか封じ込めようとする。

自分が犯した愚かな罰を、必死で考えないようにしたーーー




「……大丈夫。何も怖くないから」


< 188 / 249 >

この作品をシェア

pagetop