嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜


寒さでぶるりと震えた。

暖房も電気もつけずに泣き疲れてうたた寝をしていたみたいだ。

本当に風邪をひいてしまうとノロノロと身体を起こし、電気と暖房をつけてコートを脱ぐ。

ご飯はパスしてお風呂で温まって今日はもう寝ようーーー。脱いだ洋服を片付けているといきなりドアホンが鳴った。しかも何度も何度も執拗に鳴る。時計を見ると10時前。

こんな時間に・・・・・と思いながら恐る恐るモニターを覗き、驚いて玄関へ走った。

鍵を開けるとわたしが開ける前に外から勢いよく扉を開けられる。

「千雪っっ!!」

何かを言う前に大きな手に顔が包まれた。

「体調はっ!?真っ青な顔して帰ったって小早川が言うからーー!」

「え・・・・・あの・・・・・」

「お兄さんの病院行くか!?寝てて治るのか!?」

駅から走って来たのだろうか?
池上くんの呼吸が少し荒い。

「ってかお前、なんでこんな冷たい?」

続けざまに問いかけられて、口を挟む隙もない。
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