嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜


「修くんと朝から一緒に歩いてたら他の女子社員の買わなくてもいい恨みを買ってしまいそうやもん」

そう言ってオレより10分ほど遅く出勤する。

並んで歩いて千雪は自分のものだと主張したいオレの可愛い男心はあっさり無視だ。

出勤すると小早川と課長が既に出社して打ち合わせをしていた。

「池上〜、オレ最近美味しい朝飯にありつけないんやけど」

「は?何言ってるんすか。課長がニッコリ微笑んで作ってきてってお願いしたらなんぼでも聞いてくれる女の子いるでしょうが」

「え〜っ・・・・・オレ成海の手作りが食べたい」

「却下です」

デスクに鞄を置き、パソコンのスイッチを入れて冷たく言い放つ。

「池上」

小早川の笑いを含んだ声で呼ばれた。

「なんだよ?」

「お前意外とちっちゃいな」

「ちっちゃくて結構。千雪限定やし」



本当はオレ以外の男の視線に触れないように大事に箱にしまっておきたいーーー
呆れるくらい千雪に溺れている自覚はある。
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